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2010年5月8日の朝日新聞土曜日版「勝間和代の人生を変える『法則』」に掲載された「300の努力がひとつの成功を生む ―ハインリッヒの法則」に対するコメントです。
まずは原文を掲載します。
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今回の法則は、1929年に米国の損害保険会社員ハーバート・ハインリッヒが、約5千件の労働災害について調べた結果をまとめたもので、「ヒヤリハットの法則」としても知られています。
これは、ある1件の重大な事故の背景には、29件の軽微な事故と、300件の「ヒヤリハット(事故にはならなかったが、ヒヤリとしたり、ハッとしたりした事例)」が存在することを統計的に示したものです。
これを受けて、多くの製造現場などで、環境整備に努めたり、災害の原因のデータベースを作ったりする努力を行うことで大幅に労働災害を減らすことに成功したので、ハインリッヒは「災害防止のグランドファーザー」と呼ばれています。
そして、この「1対29対300」の法則は、単に労働災害にとどまらず、さまざまな人間の行動場面にも当てはまります。
例えば、大成功した人を観察すると、その成功はたまたまではなく、背景には29の小さな成功があり、そして、さらにその成功を支えるような300の行動習慣があります。
「なかなかいい結婚相手が見つからない」と相談を受けるときに私が必ず聞くのは、これまで何人と会う努力をしてきたか、ということです。すなわち、300人ぐらいに会い、そのうち30人ぐらいとデートをして、いわゆるステディーな関係になっていいと思える人は、せいぜいその中の1人です。
新製品のよいアイデアも同様です。300くらいのちょっとしたアイデアのうち、30ぐらいが有力なアイデアとして残り、本当に商品化してうまくいくのは、せいぜい1件です。
何か行動を起こしたとき、それがストレートに目立つ成果につながる確率は意外と低いのです。ヒヤリハットがすぐに重大事故につながらないのと同様、毎日のせっせとした努力がすべて、重大な成功につながるわけではありません。しかし、一つ一つの行動を着実にこなすことで、それが小さな成果に、そしてそのうちの一つが大きな成果につながっていくのです。
このことさえ理解していれば、よいことを増やし、悪いことをやめる小さな努力を繰り返すことに心理的抵抗感がなくなり、成果が出やすくなります。
〈参考文献〉 ハインリッヒ著『ハインリッヒ産業災害防止論』(海文堂出版、絶版)
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私もヒューマンエラーにおける「ハインリッヒの法則」については正しい理論として扱っており、否定することなど考えてもいない。
しかし、今回の内容は賛同できない。ヒューマンエラーとアイディア創出を同じ扱いにするのは「能なし商品企画」を肯定化するものである。「下手なアイディアでも数打ちゃ当たる」は許せない。
勝間さんは「下手なアイディアでも・・・」という状況はヒューマンエラーと同じ状況であると言いたいのであろう。それは正しいのであろうが、そのような状態は絶対に許せない。
私はこの現状を打破するためにも「UCD」を推進しようとしている。
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2日続けて「勝間和代の人生を変える『法則』」からの引用です。
今日は2010年5月29日に掲載された「クライマックスとエンディングが記憶を作る -- ピーク・エンドの法則」を紹介します。
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この法則は、経済学と認知科学を統合した行動経済学の分野を確立し、ノーベル経済学賞を受賞した経済学者ダニエル・カーネマンが1999年に提唱したものです。
これは、あらゆる経験、例えばデートでも、仕事でも、結婚生活でも、最高潮に盛り上がった「ピーク」のときと、最後の「エンド」のときに、それぞれどれくらい楽しい経験があったかで、主観的な記憶は塗り替えられてしまうというものです。
例えば意中の人とデートをする場合、ピークのときの、相手の心を打つような最高のひと言と、別れ際の優しい言葉や気の利いた態度さえあれば、デート中、どんなにうまくいかなくても、記憶に残らないということです。
実際、映画を見るときも、終わりよければすべてよしで、エンディングの印象がもっとも重要ですし、その映画の中に一つでも印象深いシーンがあると、そこだけが記憶に残ります。
私たちが何かに取り組もうとするとき、どうしてもすべての部分に力を入れすぎる傾向がありますが、「最後に相手とどういう経験を共有したいか」という落としどころをつくり、そこに向けて、ピークのあるストーリーを組み立てていけば、意外に小さな労力で大きな成果を生むことができます。
ビジネスの場でも、メールをしたり、会食したり、交渉するときに、好印象を残しながら、自分と相手の接点を見つけるには、最後のエンドがもっとも重要になります。さらに、そのピークには、相手に感動を与えるサプライズが必要です。
この法則を知っていると、だらだらと長いミーティングやメール、会食が必要ないこともわかります。途中のピークへ上りつめるために何を用意すればいいのか、そして、落としどころをどこにするか、その2点だけ意識すればいいのです。
私自身も、この法則を知ってから、相手への好印象を強くできるようになったのではないかと思っています。
印象が薄いと言われてしまう方、がんばっているのに、なかなかそれが成果に結びつかない方は、ぜひ、このピーク・エンドの法則を念頭に置いて、コミュニケーションの手法を組み立て直してみてください。
◇ 〈参考文献〉 リチャード・セイラー著『セイラー教授の行動経済学入門』(ダイヤモンド社)
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私はこの本を読んでいないが、勝間さんとは考えることが全然違うことが分かる。
私だったら、商品開発に活用することを考える。
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