2010年6月6日日曜日

「300の努力がひとつの成功を生む」 ―ハインリッヒの法則


2010年5月8日の朝日新聞土曜日版「勝間和代の人生を変える『法則』」に掲載された「300の努力がひとつの成功を生む ―ハインリッヒの法則」に対するコメントです。
まずは原文を掲載します。

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今回の法則は、1929年に米国の損害保険会社員ハーバート・ハインリッヒが、約5千件の労働災害について調べた結果をまとめたもので、「ヒヤリハットの法則」としても知られています。

これは、ある1件の重大な事故の背景には、29件の軽微な事故と、300件の「ヒヤリハット(事故にはならなかったが、ヒヤリとしたり、ハッとしたりした事例)」が存在することを統計的に示したものです。
これを受けて、多くの製造現場などで、環境整備に努めたり、災害の原因のデータベースを作ったりする努力を行うことで大幅に労働災害を減らすことに成功したので、ハインリッヒは「災害防止のグランドファーザー」と呼ばれています。
そして、この「1対29対300」の法則は、単に労働災害にとどまらず、さまざまな人間の行動場面にも当てはまります。

例えば、大成功した人を観察すると、その成功はたまたまではなく、背景には29の小さな成功があり、そして、さらにその成功を支えるような300の行動習慣があります。
「なかなかいい結婚相手が見つからない」と相談を受けるときに私が必ず聞くのは、これまで何人と会う努力をしてきたか、ということです。すなわち、300人ぐらいに会い、そのうち30人ぐらいとデートをして、いわゆるステディーな関係になっていいと思える人は、せいぜいその中の1人です。
新製品のよいアイデアも同様です。300くらいのちょっとしたアイデアのうち、30ぐらいが有力なアイデアとして残り、本当に商品化してうまくいくのは、せいぜい1件です。
何か行動を起こしたとき、それがストレートに目立つ成果につながる確率は意外と低いのです。ヒヤリハットがすぐに重大事故につながらないのと同様、毎日のせっせとした努力がすべて、重大な成功につながるわけではありません。しかし、一つ一つの行動を着実にこなすことで、それが小さな成果に、そしてそのうちの一つが大きな成果につながっていくのです。

このことさえ理解していれば、よいことを増やし、悪いことをやめる小さな努力を繰り返すことに心理的抵抗感がなくなり、成果が出やすくなります。

 〈参考文献〉 ハインリッヒ著『ハインリッヒ産業災害防止論』(海文堂出版、絶版)
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私もヒューマンエラーにおける「ハインリッヒの法則」については正しい理論として扱っており、否定することなど考えてもいない。
しかし、今回の内容は賛同できない。ヒューマンエラーとアイディア創出を同じ扱いにするのは「能なし商品企画」を肯定化するものである。「下手なアイディアでも数打ちゃ当たる」は許せない。
勝間さんは「下手なアイディアでも・・・」という状況はヒューマンエラーと同じ状況であると言いたいのであろう。それは正しいのであろうが、そのような状態は絶対に許せない。
私はこの現状を打破するためにも「UCD」を推進しようとしている。
 
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